台湾サラリーマンの平均月収と働き方について考える

当ブログは台湾で一泊2000元以下のホテル探しをメインコンテンツとして書き始めました。

ビューティー ホテル シュアンメイ ブティック(宣美精品飯店)のベッドに寝る赤ちゃん台湾で赤ちゃん連れで一泊2000元以下の宿を探す理由

その理由は一番最初の記事に書いたのですが、まとめると「夫が出張で泊まるホテルの料金が、会社の規定で一泊2000元までだから」です。

一人一泊2000元以下の宿はたくさんありますが、私と子供も一緒についていく場合は、普通よりもホテル探しの難易度が上がります。

頑張って探して実際に泊まってみた「安いけれど幼児連れでも安心して泊まれるホテル」を、他の人にも紹介したいと思ったのが原点です。

今回はこの2000元(2000台湾ドル)という数字をキーワードに、台湾のサラリーマンの月収とお金の使い方について書きます。

だーげーほー

こちらの記事は2017年に書いたので、その当時のお話として読んでください

台湾サラリーマンの給料と金銭感覚

台湾のお札(1000元、500元、100元)

数年前に台湾人と結婚してから、私の金銭感覚は大きく変わりました。

結婚前は東京の一人暮らしの会社員で、贅沢をしなければ不自由なく暮らせる程度のお給料をもらっていましたが、現在は台湾の地方都市で台湾企業の会社員の妻として主婦業をしています。この生活スタイルに合わせるため、意図的に生活レベルを下げる必要がありました。

例として、日本人の感覚でいうと一泊2000元(現在のレートで約7000円)のホテルは高いでしょうか、安いでしょうか?

例えば平均月収35万円のサラリーマン家庭だと、7000円は月収の2%にあたります。

2017年3月末のフォーカス台湾の記事(削除済み)によると、台湾のサラリーマンの平均月収は4万8790元(約18万円)で、平均値のうち中央値は4万612台湾元(約15万円)だそうです。

2000元は月収の4.1〜4.9%にあたるので、日本の約2〜2.5倍です。単純比較はできないものの、2倍以上の差があるということです。

100台湾ドル札の上に置かれた50元・10元・5元・1元硬貨

私の夫は元々倹約家であり、心身ともにタフな人です。仕事上、自腹で外泊する必要があった時には、セブンイレブンのテーブル席で夜を過ごしたこともあります。

さすがにそれは身体によくないと思い、なぜホテルに泊まらなかったのかと聞いてみました。

すると、彼の中では、一人で泊まる場合は1000元ちょっとまでであれば出してもいいと思える額とのこと。もちろん1000元以下、500〜600元ならなお良し。

この時は周囲にその額で泊まれるホテルがなかったから諦めたと言っていました。

この辺りの金銭感覚についてはこちらの記事でも触れています。

NKホステルのドミトリールーム台湾女一人旅、安全で快適な一泊1000元以下の宿探しガイド

台湾人と結婚した日本人女性のブログを読んでいると、高収入や資産家の旦那様を持つ方も多く、都会で華やかな生活を送っている方もいるようです。

しかし、私の場合は資産家ではなく、中流家庭で働く普通のサラリーマンと結婚し、地方で暮らしています。このような状況では、平均的な台湾人家庭との生活感覚はだいたい同じだと思います。

台湾人の月給は職種と地域によって差が大きい

台湾人のお給料の額は会社員であれば一般的に自営業に比べて少ないですが、日本と同様に業種・職種によって差があります。

私の夫は台湾企業に勤めており、今でこそ基本給に賞与や手当などがついて平均的な額になりましたが、出会った頃は役職がなかったので新卒なみのお給料でした。

(この記事を最初に書いた2017年の時点では)台湾の新卒者給与はもう20年間ほど月給22K(2万2000元、約81000円)と言われ続けています。

実際はもう少し多い会社が多いようですが、地域や規模による差も大きいため、私の住んでいるような地方都市ではもっと安いこともあります。

政府が定める最低月給は以下の通りです。

2017年:21,009元
2018年:22,000元
2019年:23,100元
2020年:23,800元
2021年:24,000元

一方、エンジニアや専門職では100K(10万元)超えも珍しくありません。

なお、パートタイム(アルバイト)の最低時給も

2017年:133元
2018年:140元
2019年:150元
2020年:158元
2021年:160元

と、ここ数年じわじわと上がっています。

台湾人は海外で働くことに抵抗が少ない

日本と台湾のサラリーマンには、もう一つ大きな違いがあります。それは人材流動性の高さです。台湾には新卒一括採用や就職活動の制度はありません。

台湾では、待遇が良い企業にあっさりと転職する人が多く、雇用側は定着率の低さによるコスト負担を抱え、被雇用者はキャリアの蓄積が難しいという問題があります。

このような状況から、独立意識が高い台湾人の中には、自分で事業を始める人が非常に多くいます。そして、起業のハードルは日本に比べて非常に低いとされています。

 

転職への抵抗が少ないため、条件が良ければ海外で働くことも視野に入れている人も多いです。2017年1月のフォーカス台湾の記事(削除済み)によると、台湾人の会社員の8割が海外での転職を考えているとのことです。

うち4割強が日本で働きたいとのことですが、日本の労働環境が過酷なのは台湾でも有名です。よく台湾は親日と言われていますが、私が見た限り日本に憧れているというよりは

  • 距離が近く
  • 情報が頻繁に入ってきて
  • 日本文化に触れる機会が多く親しみが持てる

という理由が多いのだと思います。親戚がすでに日本にいるという人も多いです。

またよく言われるのは

  • 日本の給料は台湾の3倍
  • しかし家賃や物価は3倍はいかない
  • よって日本で節約・貯金して、台湾でそのお金を使えば3倍の貯蓄をしたのと同じ

という話です。

そのため終身雇用の概念のない台湾人にとっては、日本での就職は移民や永住というより、出稼ぎの感覚に近いのかもしれません。

台北上空と台北101

日本ではあまり知られていませんが、海外で台湾人が最も多く働いている国は中国で、2017年のデータによるとその数は約42万人です。台湾の成人人口が1860万人であることを考えると、約2.3%の人が中国で働いていることになります。

台湾の標準語が中国語(マンダリン)であるため、言葉の壁が少なく、中国での職を求める台湾人が多いのです。

各携帯キャリアのショップに行くと中国と台湾の間での通話料金の優遇プランを用意していますが、仕事で中国に行く人が多いという理由もあるのでしょう。

台湾での生活費、家賃の参考例

月収と働き方について書いたので、ついでに台湾での生活費についても軽く触れます。

日本では「台湾=台北」というイメージを持つ方が多いですが、台北周辺とそれ以外の地方ではかなり差があります。そのため、台湾への移住を考えている方にとっては、もしかしたら参考になる数字かもしれません。

台湾は物価が安いと思われがちですが、近年は物価上昇が激しく、生活費の中で日本に比べて特別安いものといえば、実のところは

  • ローカルフードの外食
  • 公共の交通費、手続料、医療費
  • 接客業のサービス費

くらいのものではないかなと思います。

円安の影響もあり、日本円換算すると食料品・生活雑貨などは日本と変わらないか、日本より高いことも珍しくありません。

また地価についても、台北の土地相場価格などは体感ではとっくに東京を追い越しています。

賃貸物件は習慣の違いなどもあり、日本よりやや安く感じます。それでも月収の中で占める家賃の割合はかなり高いため、地価の上昇は賃貸族にとっても大きな悩みとなっています。

台北市中心部の町並み

台湾サラリーマンの月収は多くないですが、地方都市で一人暮らしなら最低1万元あれば生活できるとも言われます。

ただし相当切り詰める必要があり、健康で文化的な生活が送れるかどうかは疑問です。部屋は当然トイレ・シャワー・キッチン共同、エレベーターなしで、3食満足に食べることはできません。いわゆる貧乏学生の暮らしと同程度です。

実際に私の近所に住んでいる大学生は、ルームシェアの家賃を含めて一ヶ月1万元の仕送りで生活しているそうです。台湾は一人で調理すると高くつくので、ルームメイト達と一緒に自炊することで食費を抑えているとのことです。

ただし住居費・光熱通信費・食費といった生活費以外のお金、たとえば交際費や趣味に使うお金は別途アルバイトで稼ぐと言っていたので、一ヶ月1万元は学生が台北以外で生きていくのに最低レベルの生活費と考えた方が良さそうです。

台北とその周辺は家賃も高いし、何かとお金のかかる街なので難しいと思います。台北で日本人が住めるようなレベルの部屋は、家賃だけで最低1万元からと思った方がよいでしょう。

そして日本のように部屋ごとにバスルームがありキッチンがあるような一人暮らし物件はかなり少なく、1万元以下ではまず借りられません。

ちなみに台湾人の私の夫に言わせると、独身者が家賃に1万元も出すのはありえないとのこと。

台湾、特に地方では、家は借りるものではなく(結婚して)買うものという考えなので、賃貸にお金をかけるくらいならその分貯金する傾向があるのだと思います。

レストランの煌びやかな宴会場

また社会人ともなれば、人付き合いを大切にする台湾では交際費も重要になります。

例えば結婚式に呼ばれた場合は、一回に最低でも2000元は包む必要があります。参加しなくても招待状が届いた時点でご祝儀を送るのが慣例なので、日本より支出の頻度が多いかもしれません。

その他にも一時帰国の旅費や外国人ならではの臨時的な諸々の出費の可能性を考えると、一ヶ月1万元生活は日本人には現実的な数字ではありません。

補足説明

日本人を含む外国人のサラリーマンは専門的または技術的な仕事に従事する場合で最低月給が47,971元と決められているため、生活費をそこまで切り詰める必要はありません。

ならば地方都市に住んで就職すれば良い生活が送れると思うかもしれませんが、台北周辺以外では求人が少なく、特に私が住んでいるような田舎だとそんな高給を出して外国人を雇う企業は皆無です。

そのため地方に住む日本人は、台湾人同様に自分で起業する傾向が強いです。

今回の記事は日本人が台湾で働く場合については当てはまらない部分があるので、あくまで台湾人が台湾企業で働く場合のケースとして受け取ってください。

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