だーげーほーです。
台北の超有名観光スポット・國立故宮博物院は、歴史的に価値がある文物や美術工芸品を展示している、博物館と美術館の両方の性質を持った施設です。
一番有名なのは豚の角煮そっくりの”肉形石”と、翡翠でできた白菜の”翠玉白菜”ですね。
それ以外にも、ここでしか見られないとんでもないお宝や、信じられないほど精巧な工芸品を大量に観ることができるので、一生に一度は訪れたい場所です。
私は2022年に2回行ったのですが、1回目は美術関連の仕事をしている台湾人の友達が案内してくれて大変助かりました。
未就学児連れ、かつ事前の下調べなしで行ったので、わたし一人だったら観たいものに辿り着けなかったかもしれません。
今回は美術のプロでもある彼女の解説をもとに、必見の展示品を巡るルートをご紹介します。
だーげーほー
故宮博物院の見学時間は、団体ツアーでは2時間くらい、一通り見るのに最低3〜4時間だそうですが、じっくり見るにはそれでも足りないと思います。
短い滞在時間でもポイントを抑えるために、ひとまずこの記事で紹介されている展示からチェックしてくださいね。
※展示エリアは定期的に変更を行なっているので、最新の情報は公式サイトまたは現地で入手できるパンフレットをご参照ください。
目次
あの有名展示を見るなら、まずは3階へGO!
まずはなんといっても代表的な”肉形石”と”翠玉白菜”ですね。階段またはエレベーターで、一気に3階まで上がってください。
この二つが展示されているのは、3階の「302 南北故宮 国宝薈萃」というオープンな展示室です。
(以下、302などの数字は展示室の番号を表しています)
この時は来場者が少なかったため、待つことなく見られました。
元々は左の台座を使用していたそうですが、裏側まで見やすいように現在の台座に変わったそうです。
天然の翡翠の色を活かし、瑞々しく艶やかな白菜を再現した、繊細で美しい彫刻作品です。
間近で見て初めて気がついたのですが、緑の部分にはキリギリスとイナゴも乗っています。
ちなみに肉形石の方は、故宮博物院南院(嘉義)で展示中のため見られませんでした。
いつか別の機会を見つけて、ぜひ見たい国宝の一つです。
3階には、その他にも圧倒される展示が沢山!
翠玉白菜以外にも、3階にはここでしか見られない宝物が沢山あります。
だーげーほー
常設展「306、308 敬天格物―院蔵玉器精華展(敬天格物—院藏玉器精華展)」にも、国宝級の玉器が多数展示されています。
右の”黃玉髓三連章”はチェーン部分も含めて、一つの石から削り出されて造られたそうです。そのため繋ぎ目がありません。
碧玉屏風は、日中戦争中に汪精衛から天皇に贈られ、終戦後に返還されたものです。
「錦荔枝」はゴーヤの雅号だそうです。右の玉鏤雕山水人物香囊は翡翠をメッシュのように彫刻して、サシェのように中に香りのするものを入れて使うものだそう。拡大鏡で神技的な彫刻を確認できます。
また、常設展「305、307 古代青銅器の輝き―院蔵銅器精華展(吉金耀采—院藏銅器精華展)」では、紀元前17世紀ごろからの中国の青銅器の収集物が展示されています。
だーげーほー
だーげーほー
私は中国の歴史や年代に関しての知識がさっぱりなので、浅い感想しか書けず申し訳ありません。
それでも「何千年も前に作られた銅器」がこんなに沢山展示されているのは圧巻としか言いようがありませんでした。
2階は国宝級の陶磁器や書画など
2階の常設展「201、205、207 土の百変化―院蔵陶磁コレクション(摶泥幻化—院藏陶瓷精華展)」は、台湾でも特に有名な陶磁器の作品が展示されています。
白磁嬰児枕は宋代に造られた陶磁器の枕だそうです。
よく見ると結構可愛いお顔の男の子です。モチーフのキュートさ、白磁の美しい質感からか、ミュージアムショップでもグッズをたくさん見かけました。
こちらは唐の時代(飛鳥時代から平安時代中期)の美女人形。友達いわく、白磁嬰児枕と並んで、教科書に載っているレベルの重要作品だそうです。
この大きな花瓶は清の時代のものですが、色合いとモチーフが現代的なポップさでかわいいですね。
陶芸作品にも動物モチーフが多くてほっこり。
なお2階には書画の展示もありますが、時間がないので私は通り抜けるのみとなりました。
1階の「106 珍玩」も絶対に見るべき展示が集中!
1階の常設展「106 集瓊藻—故宮博物院所蔵珍玩精華展(院藏珍玩精華展)」は、宝飾品や文具など日用品としての美術工芸品がたくさん展示されています。
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「集瓊藻」とは清の乾隆帝が所蔵していたある多宝格の名称で、貴重ですばらしい品物をたくさん集めるという意味だそうです。
このコーナーでの目玉展示は、象牙を多層の透かし彫りにした球です。重なりあった全ての球は、動かすことができるそうです。
18層の可動式透かし彫りの象牙球は、清代中期以後に広東省の象牙職人の手によって3世代にわたって造られたそうです。
こちらも同時代に広東省で造られたもので、精巧な竜のモチーフが彫られた23層の可動式シースルーの象牙球です。
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赤珊瑚や真珠、点翠(カワセミの羽)による吉祥モチーフの盆栽。
指甲套とは、清の時代に「旗人」と呼ばれた上流階級の女性が使っていた爪カバーのこと。タイマイをベースに、トルマリン・真珠・点翠・翡翠などで装飾されています。
その他の金銀宝石を用いた宝飾品、装飾品の数々。眼福です。
銅+琺瑯製の鳳凰をかたどった器。裏側の部分が鏡で見られます。
清の時代に造られた竹の彫刻。気が遠くなるほどの繊細で小さな人々が山水画のような世界に生き生きと刻まれています。技巧のみならず、背景の物語にまで思いを馳せたくなるような彫刻です。
この他、隣接する「108 貴族栄華―清代宮廷の日常風景(貴冑榮華─清代宮廷的日常風景)」では清代の高貴な方々の家具を展示していました。ゆっくりは見られませんでしたが、なかなか見ることのできない展示で面白かったです。
1階は他に仏像などのコーナーがありましたが、こちらも時間がなく、通り過ぎて流し見するのにとどまりました。
興味深いテーマごとに集められた特別展
上記の常設展の他に、その時々で複数の場所で特別展が開催されています。
だーげーほー
2020年から2023年まで開催されていた「士拿乎—清朝宮廷鼻煙壺の流行」は、故宮博物院に収蔵されている嗅ぎタバコ入れの展示です。とても印象的だったので、会期中に2回見に行きました。
故宮博物院には清朝宮廷で制作された鼻煙壺を大量に収蔵しており、そのコレクションの一部を公開していました。
翡翠でできた繊細な彫刻の嗅ぎタバコ入れ。ヒスイやメノウといった天然石から、ガラスや陶器と金属、琺瑯が組み合わされていく素材の移り変わりを見ることができます。
2022年の特別展示「閑情四事─挿花・焚香・掛画・喫茶」では、日本の美術館から貸し出された天目茶碗が公開されていました。
2024年現在も303、301で開催中の「すてきな魔法のお部屋─故宮のロココ(華麗魔法屋─故宮的洛可可珍藏)」は子供向けのインタラクティブ展示もあり、親子で楽しめる内容でした。
おまけ:2階と地下1階のミュージアムショップ
2階と地下1階にあるミュージアムショップには、ここでしか買えない、見ているだけでも楽しめグッズが豊富にありました。
来訪記念にオリジナルグッズを買って鑑賞の余韻に浸るのも、美術の楽しみ方のひとつですね。
だーげーほー
というわけで、ショートカットして駆け足で巡るなら、以下のルートがおすすめです。
- 3階の「302 南北故宮 国宝薈萃」で”肉形石”と”翠玉白菜”
- 3階の他の展示と2階はお好みに応じて
- 1階の「106 集瓊藻—故宮博物院所蔵珍玩精華展」
- ミュージアムショップに寄る
故宮博物院へのアクセス、チケットの買い方やコインロッカーなどの設備は前回の記事をご参照ください。
【故宮博物院】子連れOK!行き方・アクセス&施設案内ガイド館内で食事や休憩をする予定なら、こちらの記事をご覧ください。
【故宮博物院】三希堂人文空間★雰囲気のよい秘密のティールーム